「体育会系が苦手」でも続く 北大杖道部の雰囲気
武道の学生団体と聞くと、「上下関係が厳しそう」「先輩の言うことは絶対」「痛みや怪我のある練習をしそう」といった、いわゆる 体育会系の堅苦しいイメージ を思い浮かべる方が多いかもしれません。
北海道大学杖道サークル 北志杖(ほくしじょう)では、そうした理不尽な厳しさや上下のプレッシャーを取り除くようにしています。
これには、杖道という武道そのものが持つ精神性やメンバーの特徴に理由があります。
誰もがゼロからスタートする場所
北志杖に所属する部員の およそ9割は、大学に入るまで杖道という名前すら知らなかった未経験者 です。
高校までに剣道や他の武道を経験していた部員も一部いますが、ほとんど全員が「白樫の木の棒を握るのも初めて」という同じスタートラインから稽古を始めています。
そのため、経験者が威張ったり、初心者が気後れしたりするような空気は一切ありません。技のコツや体の使い方は、学年に関係なく「こうすると綺麗に決まるよ」「なるほど、分かりやすい!」と、お互いに教え合いながら自然と身につけていきます。
また、力任せの打ち合いや体格差による勝ち負けがないため、男性が多いイメージがあるかもしれませんが 男女比もほぼ半々 です。さらに 文系・理系を問わず様々な学部の1年生から上級生までが、同じ道場で対等に汗を流しています。

理不尽な雑用や飲み会の強制をつくらない
部活動や伝統的なサークルの中には、1年生に場所取りや荷物運び、先輩への気遣いなどの雑用を任せる慣習が残っているところもあるかもしれません。
しかし北志杖では、「後輩だから」「新しい部員だから」という理由で誰かだけに負担を背負わせることはありません。
稽古場所である北ガスアリーナでの準備や道具の片付けは、先輩も後輩も関係なく全員で協力して行います。また、お酒の強要やコールといった体育会系のノリも一切ありません。お酒が飲めない方や、稽古後に自分の課題や勉強に戻りたい方も、安心して居心地よく過ごせる環境を整えています。
相手を尊重する「形稽古」の空気感
剣道や柔道のように「相手を叩きのめす・ねじ伏せる」直接打撃の試合競技とは違い、杖道は二人一組で呼吸を合わせ、相手の刀を受け流して制圧する 「形稽古(かたげいこ)」 です。
お互いの信頼関係と安全への気配りがあって初めて成り立つ武道だからこそ、稽古の場には自然と「相手を敬い、尊重し合う空気」が生まれます。
感情的に怒鳴るような指導はもちろんなく、稽古が終われば「今の動き、どうすればもっと滑らかになるかな?」と自然に振り返り合える関係ができています。
「上下のない杖」のように
刀には持つ側の「柄」と斬る側の「切先」がありますが、丸い木の棒である杖には 上も下も、表も裏もありません。
この杖の性質と同じように、北志杖では学年や立場の垣根を低くし、誰もが対等に武道を楽しめる居場所づくりを大切にしています。
サークルのメンバーには、それぞれ自分なりの目的があります。「せっかくやるなら黒帯(初段)を目指したい」という人もいれば、「週に1回、運動不足を解消してリフレッシュしたい」「落ち着ける居場所を見つけたい」という人もいます。
私たちは、「どれかひとつの熱量だけを正解としない」 ことを心がけています。どのような目的で参加する人にとっても、安心して通える温かい場所でありたいと考えています。
武道に興味はあるけれど、体育会系のノリだけは苦手……という方にこそ、北志杖の雰囲気は馴染みやすいはずです。ぜひ一度、実際の稽古を見に来てみてください。
